子育て支援施設
情報
【企業インタビューvol.11】「新潟で育ってよかった」を目指して。地域で包み込む、見附のあたたかい子育て
内容
こどもが自分らしく成長するために、大人や地域にできることは何でしょうか?新潟県見附市にある「みつけの保育園」では、こども一人ひとりの「やってみたい」「これ、何だろう」という「みつけたい」気持ちを大切にしています。そして、子育て家庭や保育園だけを抱えるのではなく、地域のみんなでこどもたちを見守っていくことを目指しています。今回は、みつけの保育園の速水竜一代表と野田施設長に、こどもとの向き合い方や、新潟で子育てをすることの思いを聞きました。
プロフィール
みつけの保育園(新潟県見附市本所)
「みつけの保育園」は、新潟県内で完全手ぶら保育や病児保育、365日保育を行う保育施設です。あらかじめ定められたカリキュラムはなく、こどもが自ら「みつける」力を育む自由な環境を提供しています。また、みつけの保育園以外にも児童発達支援や放課後等デイサービスなど、計7事業所で多様な家庭を支えています。
速水竜一代表
新潟県見附市(速水町)出身。大学進学を機に上京し、ベンチャー企業での勤務や上場企業などを経験後、地元へUターン。祖父の生き方に感銘を受けて真の働く意義を見出し、地域社会に貢献する保育事業を立ち上げた。現在はみつけの保育園をはじめとする7事業所の代表です。
野田施設長
長年 別の道を歩んだ後、60歳で未経験から施設長に就任。保護者や保育士の心に寄り添い、こども一人ひとりの成長スピードを認める温かなまなざしで、日々進化を続ける園を優しく牽引しています。
ベンチャー企業での経験と、祖父の背中が教えてくれた「地域」への想い
速水さんが急成長するベンチャー企業で働いていた際、会社の株式上場という華やかな瞬間に立ち会いました。そんな中で考えるようになったのが、「自分は何のために働くのか」ということでした。そんな速水さんの心を動かしたのは、地元・見附で暮らしていた祖父の存在です。ある時、村の人からこんな話を聞きました。「あなたのおじいさんは、稲刈りの季節になるとコンバインが田んぼに入りやすいように、誰に頼まれたわけでもないのに、田んぼの角をそっと刈ってくれていたんだよ。」目立つことではありません。それでも、誰かが少し助かることを自然にやっていた。そんな祖父は、地域の人たちから慕われていました。自分も、大きなことをするだけではなく、身近な人や地域の役に立つ生き方をしたい。
そう決意した速水さんは、新潟へ戻ることを決めたのです。
その後「まちぐるみでこどもを育てる」という考え方に出会い「これだ!」と直感。故郷のこどもたちの未来のために貢献したいという強い思いが、みつけの保育園設立の原動力となりました。

「今日は何をしたい?」から始まる保育
みつけの保育園が大切にしているのは、こども自身が考えることです。参考にしているのは、イタリアで生まれた「レッジョ・エミリア・アプローチ」幼児教育の考え方です。難しく聞こえますが、大切にしていることはシンプル。
「こどもは、大人から教えてもらうだけの存在ではなく、自分で感じ、考え、育っていく考え方を持っている」という考え方です。朝の時間には、こどもたちと「今日は何をしてみたい」と話します。園庭にも、遊び方を決めてしまうような遊具を多く置かず、身近な自然や道具を使いながら、こどもたち自身が遊びを見つけていきます。大人がすぐに答えを教えるのではなく、「どうしたらできるかな?」「これ、おもしろいね」「もう一回やってみる?」と一緒に考えます。失敗することも、大切な経験です。

速水さんは、 「こどもには小さい頃から「その子らしさ」が表れています。大人がその可能性を決めるのではなく、一緒に“みつける”存在でありたいんです。私たちはその可能性をみつける手助けをしたいんです」と話します。

こどもを大切にするために、働くひとも大切にする。
こどもたちにゆったりと向き合うためには、保育士自身にも心の余裕が必要です。そこで、みつけの保育園では、職員が休みを取りやすい環境づくりや働き方の見直しを進めています。具体的には年間休日125日に加え、有給や介護・看護、誕生日など様々な特別休暇を活用し、実質年間140日程度休むことができる他、一部週休3日制を取り入れるなど、大胆な働き方改革にも取り組んでいます。「保護者が頑張りすぎなくてもいい環境をつくりたい。そのためには、保育士も無理をしすぎないことが大切です」こども、保護者、そして保育者。誰か一人が無理をするのではなく、みんなが少しずつ支え合える環境を目指しています。

さらに見附で歴史ある神社の立て直しに関わり、「ランタン祭り」を企画。園児と保護者、地域のお年寄りも巻き込んだお祭りは大盛況で、現在も地域の人が楽しみにするイベントです。

「保育園は地域の中にあるもの。こどもたちが地域の人たちと触れ合い、見守られながら育つには、こうしたつながりが欠かせません」と語ってくれました。

「今日はこんなことをみつけたね」を大切に
そんな園を主体となって職員とつくりあげているのが野田施設長です。60歳で未経験から施設長になったという少し珍しい経歴を持っています。野田施設長が大切にしているのは、こどもをほかの子と比べないことです。「毎日完璧じゃなくていいんです。昨日できなかったことが今日はできた。それを一緒に喜ぶことを大切にしています。こどもの成長には、それぞれのペースがあります。早くできることだけが「成長」ではありません。その子としての一歩をみつけて、周りの大人が一緒に喜ぶ。そんな積み重ねが、こどもの「やってみたい」という気持ちにつながっていきます。」
「最初は速水さんの考えていることが理解できず、まるで宇宙人みたいだと思うことがありました(笑)」と笑う野田施設長ですが、今では理想と現場の温かさが融合し、みつけの保育園は地域になくてはならない場所となっています。

「新潟で育ってよかった」と思えるふるさとへ
子育てしやすい地域とは、制度やサービスがたくさんある地域だけではないのかもしれません。こどもの違いを認めてくれる人がいる。親が困った時に「助けて」と言える場所がある。そして、地域の中に自分たち親子の居場所がある。そんな安心感も、子育てには大切です。大きくなって、新潟を離れ、振り返った時に「新潟で育ってよかった」「見附で育ってよかった」と思ってもらえたら嬉しいです。家庭だけでも、保育園だけでもなく、地域みんなでこどもの成長を見守っていく。「子育ては親だけでがんばらなくてよい」と思える。地域に受け継がれてきたつながりを大切にしながら、こどもたちをみんなで見守り、育てていく。そんな新潟らしい、あたたかな子育ての文化を次の世代へつなげていきます。
みつけの保育園をはじめ、速水さんが手がける事業所では、地域とそこに住む人たちの深い繋がりを通じて、こどもたちが「ここで育ってよかった!」と実感できる温かい子育て環境を、地域全体で共に創り広げ続けています。
●今回取材させていただいた施設
みつけの保育園(見附市)<代表 速水竜一氏>
https://mitsukenohoikuen.jp/



