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【ファミリーインタビューvol.4】東京のキャリアを「転換」 新潟で実現した起業と子育て
内容
コロナ禍をきっかけに、多くの人が働き方や暮らしを見つめ直しました。今回お話を伺った諸橋さんもその一人。東京でのキャリアを手放し、夫の故郷である新潟県長岡市へ移住しました。当初は知り合いも情報もゼロの状態から地域に溶け込み、ついには自らお店をオープン。子育てと仕事を両立しながら、今ではママたちの輪の中心で地域を盛り上げるイベントまで企画しています。彼女のパワフルな行動力の源と、新潟で見つけた新しい幸せの形について伺いました。

プロフィール:諸橋 陽子(もろはし ようこ)さん
新潟県長岡市出身の夫と娘2人(6歳、4歳)の4人家族。神奈川県横浜市出身。レンタルドレスショップ、ペット業界での勤務経験があり、洋裁の専門学校を卒業した経験も持つ。2022年に長岡市へIターンし、子ども服のセレクトショップ「ピクニックボックス」を開業。現在は店舗経営の傍ら、ママたちと共にフリーマーケットや親子向けコンサートなどのイベント企画・運営も手掛ける。「仕事優先」の価値観を変えた コロナ禍と長岡へのIターン
「東京にいた頃は、出産後1カ月で子どもを保育園に預けて仕事に復帰するつもりで、すでに申し込みも済ませていました」と諸橋さん。当時は仕事への復帰意欲が強く、子育てのためにキャリアを中断する考えはなかったと言います。しかし、第一子出産から3カ月後にコロナ禍が直撃。保育園は休園となり、復職の目処も立たないまま自宅で子育てをする日々が続きました。
「どこにも出かけられない生活でした。マンションの一室で子どもと過ごす中で、もっと伸び伸びと子育てができる環境があるのではないかと考え始めました」

夫が長岡市出身だったこともあり「移住」が選択肢に浮上。最初は「仕事もちゃんとしたいし、子育ても良い環境で」という両立の視点でしたが、次第に新潟の豊かな自然や広い公園が、子どもたちにとって理想的な環境だと感じるように。コロナ禍で得た“おうち時間”が、家族の未来を考える貴重な機会となり、新潟への移住を決意させました。
SNSと行動力 ゼロから築いたママ友の輪
移住したものの、長岡市に知り合いは一人もいません。頼れる情報源がない中で諸橋さんが活用したのが、Instagramでした。
「『#長岡ママ』などのハッシュタグで検索して、とにかく情報を集めました。子育て支援施設の『てくてく』や『ぐんぐん』、地域のマルシェなど、子どもを連れて行けそうな場所を見つけては、毎日どこかへ出かけていましたね」
徹底した情報収集と行動力で、少しずつ地域に溶け込んでいった諸橋さん。特に大きな転機となったのが、多くの転勤族や移住者のママたちが集う「親子のふれあい教室ぽっぽ」との出会いでした。
「東京から来たばかりで、地域のことが何も分からなかった私にとって、同じ境遇のママたちと繋がれる場所は本当に貴重でした。そこで出会ったママ友たちとのコミュニケーションの中で、夫の転職に役立つ情報も得ることもできたんです」
起業というキャリアチェンジ 経験を生かすセレクトショップ
夫の仕事が安定した一方で、諸橋さん自身も新たな道を模索し始めました。長岡に移住する前からネスパス(東京都渋谷区にあった新潟県のアンテナショップ)で転職や助成金について情報収集していた諸橋さん。たどり着いたのは「起業」という選択肢でした。
「子ども服のセレクトショップなら、ペット業界での仕入れの経験や、専門学校で学んだ洋裁の技術を生かせるかもしれない。何より、会社員と違って時間に融通が利き、子育てや将来の親の介護とも両立しやすい働き方ができるのでは、と考えました」

2022年2月に移住してから、5月には助成金の審査書類を提出。8月には審査が通り、そして11月に子ども服のセレクトショップ「ピクニックボックス」を開業。保育園の入園が決まるまでの4カ月間は、当時2歳と1歳になったばかりの娘さんを見ながらお店に立つという、怒涛の日々を乗り越えました。店内にキッズスペースを設けたのは、自身の経験から「親が安心して買い物ができる場所」が必要だと痛感したからだそうです。
親子のためのイベント企画で地域を盛り上げる
お店が軌道に乗ると、諸橋さんの活動はさらに広がっていきます。お店のお客さんや、ぽっぽに通うママ友と『一生産後』という名前でフリーマーケットや親子向けコンサートといったイベントを企画・主催するようになったのです。
「お店で販売しているお洋服も、いつかはサイズアウトしてしまいます。大切に選んだ『わが子のための服』を次の子につなげたいという思いをメンバーから聞き、それに賛同するかたちで参加させてもらったのがはじまりです」
この活動は大きな反響を呼び、今では諸橋さんのもとに多くのママたちが集い、新たな企画が次々と生まれています。

「子どもたちが色々な経験ができる機会を、新潟でもたくさんつくっていきたい。東京にいた頃は、自分が地域のために何かをするなんて考えもしませんでした。でも今は、ママ友たちと『あれやろう、これやろう』と話している時が一番楽しい。新潟に来て、新しい生きがいを見つけられた気がします」
新潟への移住という決断から始まった、諸橋さんの新しい人生。それは、SNSという現代的なツールを駆使しながらも、地域の人々とのリアルな繋がりを大切にすることで切り拓かれてきました。「#長岡ママ」から始まった一つの縁が、仕事を生み、仲間を呼び、地域を元気にする大きな渦となっています。



