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【企業インタビューvol.2】社員の人生に寄り添う経営 子育て世代と共に成長する「いのラボ」の挑戦
内容
「社員の離職理由は、本人の意志だけでなく、家族の意向も大きい」
そう語るのは、新潟市を中心に接骨院や介護予防事業などを展開する株式会社いのラボの猪股社長。自身も4人の子どもの父親として子育てに奮闘する中で、社員が安心して長く働ける環境づくりの重要性を痛感したと言います。同社が実践する、社員一人ひとりのライフプランに寄り添う独自の取り組みと、その背景にある経営哲学に迫りました。

会社概要
株式会社いのラボ(本社:新潟県新潟市西蒲区)
自宅での接骨院開業からスタートし、現在は新潟市内で3つの接骨院とパーソナルトレーニングジム、2つの介護予防施設を運営。地域住民の健康を多角的にサポートしている。院内にはキッズスペースを完備し、施術中の託児サービスも提供するなど、子育て世代の顧客にも優しい環境が特徴。自身の経験から生まれた「家族にも届く」子育て支援
株式会社いのラボが導入している子育て支援制度は、非常に手厚く具体的です。「子どもが1人生まれるごとに、月々1万円の手当を18歳になるまで支給しています」
この「子育て手当」に加え、産休・育休の取得率は女性社員が100%、男性社員もこれまで対象者3人中2人が取得するなど、休みやすい文化が根付いています。また、業界特有の長い勤務時間(午前9時〜午後8時)という課題に対し、昼休み(3時間)を短縮して早めに退勤できるようにするなど、個々の事情に合わせた柔軟な勤務体系を整えています。
これらの制度を導入した背景には、猪股社長自身の経験がありました。

「私自身も4人の子育てをする中で、育児には人手もお金も本当にかかることを実感しました。特に、埼玉で双子が生まれたのを機に新潟へUターンしたのですが、周りのサポートのありがたみを痛感しましたね」
この実体験から、「社員本人だけでなく、その家族にも届くような支援をしたい」という想いが強くなったと言います。社員が安心して働き続けるためには、家庭の安定が不可欠であるという考えが、株式会社いのラボの制度設計の根幹にあります。
「あの人だけずるい」を防ぐ鍵はキャリア教育

しかし、手厚い制度を導入する過程では、多くの企業が直面する壁にぶつかりました。それは、独身の社員や、すでに子育てを終えた世代からの「不公平感」です。
「『あの人たちだけずるい』という雰囲気にならないよう、社員全員の理解を得ることが一番の課題でした」と猪股社長は振り返ります。
その解決策として同社が最も力を入れているのが、入社時からの「キャリア教育」です。

「若いうちから、出産や育児といった将来のライフイベントがキャリアにどう影響するのかを具体的に伝えます。働ける時間が限られても活躍し続けるためには、今のうちから能力を身につけておく必要がある、と。そうすることで、目の前の仕事への真剣味が増しますし、制度を利用する側も、周囲への感謝と責任感が生まれます」

このキャリア教育は、猪股社長自らが話すだけでなく、社外の専門家や、業界で活躍する女性の先輩などを講師として招き、多角的な視点で実施されています。単に制度を与えるだけでなく、それを活かすための「能力」と「意識」を育てることこそが、組織全体の納得感に繋がっているのです。
働き方の選択肢を広げる新たなサービス展開
社員の成長を促す取り組みは、新たな事業展開にも繋がっています。近年スタートした介護予防事業や、産後の骨盤矯正プログラムなどは、実は子育て中の社員の働きやすさを考えて生まれた側面もあると言います。
「夕方以降のピークタイムに働けない社員でも、日中の時間帯で専門性を発揮できる場所を作る必要がありました。そこで、介護予防のデイサービスや、産後のママさん向けのメニューを充実させたんです」
これにより、社員はライフステージに合わせて働き方の選択肢を増やすことができ、会社としても新たな顧客層を獲得するという、好循環が生まれています。
目指すは「安心して戻ってこられる場所」
「今後の目標は、産休・育休から復帰した社員が、自信を持ってキャリアを継続できるロールモデルを確立することです」と猪股社長は語ります。そのために、産休に入る前からマネジメント業務を経験させ、復帰後もスムーズに管理職として活躍できるようなキャリアパスの整備を進めています。
最後に、子育てと仕事の両立を目指す方々へのメッセージをいただきました。

「仕事だけでも、育児だけでもなく、バランスを取りながら無理なく続けることが大切です。そして、一人で抱え込まず、パートナーや祖父母、地域の人々など、周りのサポートをうまく活用してほしい。新潟には、頼れる人や場所がたくさんありますから」
株式会社いのラボの取り組みは、社員を単なる労働力としてではなく、共に成長していくパートナーとして捉え、その人生に寄り添おうとする温かい眼差しに満ちています。制度と教育の両輪で「働きがい」と「働きやすさ」を追求する同社の姿勢は、これからの地域社会を支える企業の、一つの理想形と言えるでしょう。



