【企業インタビューvol.4】子ども連れ出勤は当たり前。「お互い様」の組織論

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【企業インタビューvol.4】子ども連れ出勤は当たり前。「お互い様」の組織論

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2026.01.09
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内容

新潟県内で新築住宅やリフォーム事業を手掛ける「オフィスHanako株式会社」
女性社員比率が約75%を占める同社は、産休・育休の取得率100%、復帰率も100%です。「子どもが熱を出した」「学校が休みになった」。そんな時、同社では子どもを連れて出社することが日常の光景として溶け込んでいます。なぜ、これほどまでに自然に仕事と子育てが融合しているのか。その背景にある、独自の企業文化と人材育成の哲学に迫りました。
 

プロフィール

オフィスHanako株式会社(本社:新潟県新潟市中央区)

新潟市に拠点を置く住宅・不動産会社。「女性建築士と造るハナコの家」をブランドコンセプトに、女性目線での細やかな家づくりを提案している。創業15年目を迎え、従業員数は約50名。
 

岡野 哲也さん

営業・マーケティング部 統括部長。全体のマネジメントを行いながら、女性活躍の土壌を支える。
 

小玉 美沙希さん

人材開発室 室長 兼 営業・マーケティング部 新築営業課 主任。未経験入社から資格を取得し、現在は採用・教育と営業の二刀流で活躍中。
 

後藤 理沙さん

営業・マーケティング部 新築営業課 課長。産休・育休を経て管理職へ。子育てと仕事を両立するロールモデル的存在。
 

心とお腹を満たす、温かな手作り給食

オフィスHanako株式会社の昼下がり。オフィスの一角から、食欲をそそる良い香りが漂ってきます。同社の大きな特徴の一つが、会社が費用を全額負担して提供される「給食」です。



専任のスタッフが調理を担当し、毎日全社員50人分の昼食が振る舞われます。「今日は何?」と社員たちが集まり、同じ釜の飯を食べる。この制度は5〜6年前から続いており、単なる福利厚生を超えたコミュニケーションのハブとなっています。



「余ったおかずは持ち帰ることもできます」と、小玉さんは笑顔で語ります。 働きながら子育てをする社員にとって、退勤後の夕食作りは大きな負担。持ち帰ったおかずを夕食の一品にすることで、帰宅後の家事負担が軽くなり、家族と過ごす時間が増える。給食は、働くママたちの心強い味方になっています。

代表の「少しでも家事の負担がなくなるといいよね」という言葉から始まったこの制度。会社からの温かいエールは、社員の心と体を支えています。
 

「迷惑」という言葉が存在しない場所

同社において「子連れ出勤」は、特別な許可が必要なイベントではなく、日常の一部です。「子どもを連れてくることに対して、周りが『うるさいな』とか『迷惑だな』という空気を出さないのが、うちの普通です」と、岡野さん。



例えば、小学校が長期休みの期間や、急な休校の日。出社した社員の子どもたちは、空いている会議室やスペースで宿題をしたり、遊んだりして過ごします。 母親が業務で席を外す際も、手の空いている他のスタッフが自然と子どもの相手をする。誰かに言われたからではなく、社員全員が「お互い様」の精神で動いているのです。



後藤さんも 子どもを連れて会議に出席することもあります。他の社員も、子どもを別室で宿題をさせたり、手が離せない時は他の社員が見てくれたりと、それが当たり前の光景となっています。



この「申し訳なさを感じさせない空気」こそが、復帰率100%の正体かもしれません。制度があるだけでなく、それを利用することが「普通」であるという心理的安全性が、キャリアの継続を強力に後押ししているのです。
 

未経験からプロへ――自信を育む育成環境

オフィスHanako株式会社のもう一つの特徴は、社員の資格取得に対する熱心なバックアップ体制です。 驚くべきことに、同社に入社する社員の多くは、不動産や建築の未経験者。「宅地建物取引士(宅建士)」や「建築士」、「住宅ローンアドバイザー」といった専門資格を持っていない状態で入社し、働きながら取得を目指します。

「私たちは経験よりも人柄を重視しています。前向きさや明るさがあれば必要なスキルは、後から身に着けられると考えています」と小玉さん。 資格取得にかかる学校の費用や教材費の半額は会社が負担します。



そこには、社員一人ひとりに自信を持って働いてほしいという想いがあります。 結婚や出産、配偶者の転勤など、女性の人生には様々なライフイベントが訪れます。しかし、どこに行っても通用する資格とスキルがあれば、自信を持ってキャリアを歩んでいける。会社のためだけでなく、社員の人生そのものを豊かにするための育成方針が、学習意欲の高い組織風土を作っています。

実際に未経験で入社した小玉さんも、働きながら知識を身につけ、今では人事も兼任するプレイングマネージャーへと成長しました。「会社が自分の将来まで考えて投資してくれている」という実感は、仕事へのモチベーションへと直結しています。
 

「家庭ファースト」だからこそプロの仕事ができる

なぜ、これほどまでに社員に寄り添うのか。その根底には「子育てをしながら働く大変さ」への深い理解や「仕事も家庭も大事にしてほしい」という想い、「社員の家族を大切にする」という揺るぎない理念があります。



社内では「家庭がうまくいっていないと、いい仕事はできない」という考え方が、空気のように当たり前に浸透しています。

顧客に「幸せな家」を提案するハウスメーカーの社員が、家庭を大事にしていなければ、説得力のある提案などできません。社員自身が生活を楽しみ、家族との時間を大切にしているからこそ、お客様の暮らしに寄り添ったリアルな提案が生まれるのです。
 

家族のような心のつながりが会社をひとつに

同社の団結力は、社内イベントでも発揮されます。社員の家族も招待して行われるイベントでは、家族ぐるみの交流が盛んに行われており、会社全体がまるで一つの大家族のような温かさに包まれています。

「女性活躍」や「ワークライフバランス」という言葉が叫ばれて久しい昨今。制度を整える企業は増えましたが、それを文化として定着させることに課題を感じる企業は少なくありません。 オフィスHanakoの取材を通じて見えてきたのは、制度という「ハード」以上に、お互いを思いやる「ソフト(心)」の成熟でした。
 

「誰かの子どもは、みんなで見る」
社員の幸せが顧客の幸せを生み、それが会社の成長へと繋がる。オフィスHanako株式会社が体現するこの幸福な循環は、これからの企業経営における一つの希望の光となるでしょう。

●今回取材させていただいた企業
オフィスHanako株式会社(新潟市)
https://www.hanako39.jp/