【企業インタビューvol.6】「教育」の現場にも、新しい働き方の風を。グループシナジーと対話で拓く、キャリアの選択肢

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【企業インタビューvol.6】「教育」の現場にも、新しい働き方の風を。グループシナジーと対話で拓く、キャリアの選択肢

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2026.02.06
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内容

学習塾や習い事教室等の教育関連事業会社を管理する株式会社エヌエスジー教育ネットワーク。「教育」という人を育てる現場ゆえの「夜型勤務」や「授業への責任感」といった課題に向き合いながら、同社ではグループのスケールメリットを活かした独自の制度や、社員の声を吸い上げる仕組みづくりに取り組んでいます。今回は、人事部の五十嵐部長と古澤次長に、教育業界ならではの働き方改革の現在地と、子育て世代を支える具体的な取り組みについてお話を伺いました。


 

プロフィール

 

株式会社エヌエスジー教育ネットワーク(本社:新潟県新潟市中央区)

新潟県を中心に、学習塾、資格取得スクール、習い事教室など、多様な教育サービスを展開するNSGグループの中核企業。「人々の幸福と豊かさを実現するために社会のニーズに合った教育事業の可能性を追求し地域社会・国家・国際社会の発展に寄与する」という経営理念のもと、教育を通じて地域社会に貢献。NSGグループ全体のスケールメリットも生かしつつ、従業員のライフステージに合わせた多様な働き方を模索している。
 

五十嵐さん

人事部部長。長年にわたり人事・労務に携わるベテラン。教育サービス事業で起こり得る「長時間労働」や「属人化」の解消に向け、勤怠管理の徹底や制度設計に尽力。「制度は作るだけでなく、社内の風土や雰囲気が大事」と語り、現場との対話を重視している。
 

古澤さん

人事部次長。自身も3人の子をもつ父親であり、昨年までは学習塾のエリアマネージャーであるとともに現場で教鞭をとっていた。自身の経験から、現場が抱える「休むことへのハードル」を深く理解しており、社員の声を吸い上げながら現実的な解決策を模索している。
 

ライフステージが変わっても、キャリアを諦めない。「人材活性状況調査」の活用


教育業界、特に学習塾部門では、勤務時間が夜遅くなりがちです。結婚や育児といったライフイベントを迎えた社員が、どのようにキャリアを継続していくかは大きな課題でした。

五十嵐さんは、同社が実施している「人材活性状況調査」が重要な役割を果たしていると語ります。「これは全社員を対象に、現在の職務適性や将来のキャリア希望、勤務地の要望などを年1回ヒアリングする制度です。この調査に基づき、社内の組織編成や個々のキャリアを考えています」



具体的な事例として、第1子を出産し、復帰後も教務の仕事を行いたい女性社員のケースが挙げられました。 「彼女はもともと夜遅くまで授業がある校舎にいましたが、復帰にあたり、比較的早い時間(19時頃)に業務が終了する職務へと変更しました。ご家族の協力も得ながらですが、無理なく働き続けられる環境を会社として用意することが、離職を防ぎ、キャリアを繋ぐことの一助になると考えています」

単に「時短勤務」にするだけでなく、本人の適性と生活時間を考慮した「適所への配置」を行うことで、社員のパフォーマンスを維持する工夫がなされています。
 

「教えたい」情熱をグループ全体で活かす。「グループ内副業制度」


NSGグループならではのユニークな取り組みとして「グループ内副業制度」があります。これは所属する会社に籍を置きながら、グループ内の他法人で業務を行える仕組みです。



五十嵐さんは、この制度が実際に現場でどう活用されているかについてこう語ります。
「昨年から本格的に運用を始めましたが、例えば『冬期講習の時期だけ、塾講師として授業を担当する』といったケースが増えています。かつて教育現場にいた社員が、現在は別の事務職等に就いていても『やっぱり教える仕事が好きだ』と手を挙げてくれます。受け入れ側の人材不足解消になるだけでなく、本人にとってもスキルを活かせる場となり、モチベーション向上に繋がっています」

古澤さんも、この制度がキャリアの自律的な選択肢になっていると感じています。
「生活環境の変化で現場を離れざるを得なかった人でも、お子さんが大きくなって余裕ができれば、この制度を使ってまた現場感覚を取り戻すことができます。会社主導ではなく、社員自らが求人を見て応募する『手挙げ制』である点も、キャリア自律を促すポイントだと思います」
 

外部からの視点で気づく、取り組みの成果


「例えば週に1度でも昼間だけの勤務が実現できれば良いというアイディアが、小さなお子さんを育てるスタッフから出ました。それで組織内に聞いて回ると、それぞれの事業体・部門全体で実施できるかどうか、不公平感が生まれないかという話になります」と五十嵐さん。各スタッフの声に耳を傾けつつ、組織で足並みをそろえることの重要さも忘れてはいけません。

こうした労務管理への取り組みが、外部からも評価されつつあると語ります。



「都市圏で学習塾事業に携わり、その後UIターンで入社された方から『労務的にはだいぶホワイトですよね』と驚かれることがあります」

学習塾業界は「ブラック」というイメージを持たれる場合もありますが、同社では勤怠管理を厳格化し、サービス残業の撤廃などに取り組んできました。その成果が、中途採用者からの客観的な評価として表れています。
 

「授業は自分でやり遂げたい」責任感と、休むことのジレンマ


一方で、現場には教育サービス業特有の難しさもあります。古澤さんは、元講師としての実感を込めて語ります。「塾講師にとって、自分が受け持ったクラスは最後まで自分で面倒を見たいという責任感があります。有給休暇を取りたくても『代わりの講師への引継ぎが大変』『質を落としたくない』という想いが先行し、なかなか休めないのが実情でした」



そこで同社が推進しているのが「計画有休」の取得です。あらかじめ決めた日程で休みを確保し、組織全体でカバーする体制づくりを進めています。しかし、それ以上に大切なことは、社員が休みたいときに有給休暇を取得できるような環境づくり。目下その実現に向けて取り組んでいます。

「制度があるだけでは不十分です。例えば、私が現場にいた頃、授業の詳細な引継ぎ資料を作ることで安心して休めた経験があります。そうした『属人化させないノウハウ』を共有していくことも重要です」
 

「手伝う」から「共に育てる」へ。子をもつ親として、人事としての想い


自身も3人の子をもつ父親でもある古澤さんは、若手社員の意識の変化を肌で感じています。 「以前は『奥さんを助ける』というスタンスの男性社員が多かったですが、今の若い世代は『自分も主体的に子育てに参加したい』『夫婦二人で子育てするのが当たり前』という意識が圧倒的に強いです」



しかし、現場にはまだ「どうやって休むんだ」という懐疑的な目も存在すると言います。 「現場の若い社員は、会社の方針は理解していても、実務との板挟みになっています。だからこそ、私たち人事が現場の声を拾い、経営層に届ける。そして、上から強いメッセージとして『やるんだ』という使命感を持って進めていく必要があります」
 

未来を拓くメッセージ


古澤さんは、変化の過渡期にある今だからこそ、声を上げることの重要性を語ります。
「現場の声を拾い、一緒に考えないと業界は変わりません。若い社員が声を上げ始めている今、私たち管理職がその声を受け止め、実現への道筋を作ることが使命だと思っています」

五十嵐さんは、組織の在り方についてこう締めくくりました。
「制度はもちろん大事ですが、一番大切なのは『休みたいときに休める雰囲気』です。それは経営層や管理職が率先して示していく必要があります。社員一人ひとりが将来のキャリアを描き、長く幸せに働ける組織を、グループの総合力を活かして作っていきます」
 

「教育」への熱い想いがあるからこそ、働き方改革には特有の難しさがある。その現実に真摯に向き合い、人事部と現場、ベテランと若手が対話を重ねながら、一歩ずつ前に進もうとする姿勢が印象的でした。株式会社エヌエスジー教育ネットワークの挑戦は、教育業界全体の働き方を変える試金石となるかもしれません。

●今回取材させていただいた企業
株式会社エヌエスジー教育ネットワーク(新潟市)
https://www.nsg-e-net.co.jp/