【企業インタビューvol.7】「冷たさに熱を込めて」100年企業へ。建設業の常識を覆す、社員の「想い」に寄り添う組織づくり

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【企業インタビューvol.7】「冷たさに熱を込めて」100年企業へ。建設業の常識を覆す、社員の「想い」に寄り添う組織づくり

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2026.02.13
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内容

「建設業は休みが少なく、男性社会」──そんな旧来のイメージを覆し、新潟県で注目を集めている企業があります。女性活躍推進企業として厚生労働省が認定する「えるぼし認定(最高段階)」や、多様で柔軟な働き方の推進や女性の登用・活躍などに積極的に取り組む企業として新潟県が認定する「Ni-ful(ニーフル)ゴールド認定」など、数々の認定が示すのは、徹底した「社員ファースト」の姿勢。今回は、創業50年の節目に新たなビジョンを掲げ、社員のエンゲージメント向上と働きやすさを追求する株式会社ナンバの皆様に、その改革の裏側を伺いました。


 

プロフィール

 

株式会社ナンバ(本社:新潟県長岡市)

1972年創業。冷凍・冷蔵、空調、厨房設備などを中心とした総合設備工事を行う会社。自社開発したフロンガス漏洩検知システム「フロンキーパー」は環境大臣賞を受賞している。
 

袖山さん(ブランディング戦略部長)

「100年企業」を目指すリブランディングを主導。自身も中学生・小学生の子育て中で、制度をフル活用する管理職パパ。
 

小林さん(工事部)

入社10年超。3歳と1歳のお子さんを育てながら、設計積算の業務で活躍中。
 

土田さん(総務部長)

総務として労務分野を管理。社員一人ひとりの声に耳を傾ける「面談制度」を運用し、制度と現場の橋渡し役を担う。
 

「冷たさに熱を込めて」次世代につなぐバトン


「創業50年を超えた今、私たちが目指すのは『100年企業』です」そう力強く語るのは、ブランディング戦略部長の袖山さんです。



会社を存続させ、技術を次世代へバトンタッチするためには、若い人材が「ここで働き続けたい」と思える環境が不可欠です。そこで生まれたのが「冷たさに熱を込めて」というスローガンです。同社が得意とする「冷やす」技術に、社員一人ひとりの「熱意」を込める。この言葉には、社員満足度や愛社精神(エンゲージメント)こそが企業の持続可能性を支えるという、強い信念が込められています。
 

「あったらいいな」を形に。中学生まで使える独自の休暇制度


同社の子育て支援策の中でも特に社員からの支持が厚いのが、独自の「育児目的休暇」です。法定の「子の看護等休暇」は通常小学3年生修了までが対象ですが、株式会社ナンバでは「中学校卒業」まで対象を拡大。さらに、児童1人につき年間5日(2人以上で10日)を付与し、1時間単位での取得も可能です。



「正直、この制度がなかったら給料が減っていたと思います(笑)」と話すのは、3歳と1歳のお子さんを育てる工事部の小林さん。「子どもは風邪をひくとすぐ中耳炎になってしまうので、1時間早く退社して混み合う前に病院へ連れて行けるのは本当に助かります」。

管理職である袖山さん自身も、この制度をフル活用。「妻の職場にはない制度なので、子どもの学校行事や送迎は私が対応することも多く、非常に助かっています」と語る通り、役職や性別に関係なく「お互い様」で休みを取れる風土が根付いています。
 

制度があるだけでは意味がない。「見える化」と「対話」の力


素晴らしい制度も、知られていなければ使われません。自社制度の分かりにくさを課題と捉えたブランディング戦略部では、制度の「見える化」に注力しました。



「初めての出産だと、妊娠中に保育園見学が必要なことすら分かりません。だからこそ、妊娠から復職までの流れや、いつ何をすべきかをイラスト入りで解説した資料を作成しました」。資料はスマホから見られるようにし、家族とも共有できるように紙資料を手渡す徹底ぶりです。こうした地道な周知活動は、社員の意識も確実に変えています。

「産後パパ育休」を取得した工事部の櫻井さんからは「事前に制度について何度も告知があったため、とても取得しやすい環境だった」という声が寄せられています。



また「産休・育休前後の面談」については、小林さんも「不安や家庭の事情を聞いてもらえたことで、安心して休むことができました」と語り、対話が安心感を生み出しています。制度を整えるだけでなく、会社が応援しているというメッセージが社員に伝わることで、制度を確実に利用するアクションへとつながっていきます。
 

建設業界の課題に挑む。チームワークで実現する「残業削減」


一働きやすい環境づくりにおいて、建設業界特有の「長時間労働」や「休日出勤」の解消は避けて通れない課題です。株式会社ナンバでは、段階的な改革を行い、2026年1月から「完全週休2日制」を導入しました。



労務管理システムで残業時間を可視化し、特定の個人に業務が集中しないよう、施工管理に関して2人体制やエリア担当制などの検討を始め、チームで支え合う仕組みを構築。 入社10年以上の小林さんは「昔は残業が当たり前でしたが、今は定時退社ができています。業務量の見極めや意識改革が進み、会社が本当に変わってきたと実感しています」と変化を語ります。
 

「うらやましい」を「幸せ」に変えていく


土田さんは振り返って語ります。「私が入社した頃と比べると、今の制度は本当にうらやましい限りです。昔はお休みも少なく、仕事と家庭の両立は今以上に大変でした。でも、だからこそ今の若い人たちには、整えられたこの環境をフル活用して、幸せに働いてほしいと心から願っています」



過去の苦労を知るベテラン層が、改革を「甘え」と捉えるのではなく、次世代への「ギフト」として肯定し応援する。この温かいまなざしこそが、株式会社ナンバの改革が形骸化せず、現場に浸透している最大の理由なのかもしれません。
 

制度を作るだけでなく、それを運用する「人」の想いを繋ぎ、互いに助け合う株式会社ナンバ。世代を超えた相互理解と「お互い様」の精神が、同社の「熱」ある取り組みを支えています。 これからは男性の育児休業取得もさらに推進していくとのこと。この温かい企業風土は、建設業界のみならず、多くの企業にとって一つの道標となるはずです。

●今回取材させていただいた企業(長岡市)
株式会社ナンバ
https://nanba1.jp/