【ファミリーインタビューvol.10】「育休取得がゴールじゃない」新潟県職員の先輩・後輩パパが語る、3カ月間のリアル

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【ファミリーインタビューvol.10】「育休取得がゴールじゃない」新潟県職員の先輩・後輩パパが語る、3カ月間のリアル

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2026.03.06
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内容

友人でもあるふたりの男性職員が、偶然同時期に第一子を授かり、同じ期間の育児休業を取得しました。新潟県庁で働く金巻さんと渡辺さん。3カ月という濃密な時間を経て、仕事への向き合い方や家族との絆はどう変化したのか。子育てを通じて深まったおふたりの友情と、新潟でのリアルな育児ライフについて語っていただきました。
 

プロフィール

 

金巻 遼弥 さん (写真右)

2019年入庁。現在は観光文化スポーツ部 観光企画課 企画調整グループに所属。観光ブランド「大地と雪の恩恵 本当の豊かさは、新潟(ここ)にある。」の構築・浸透や、観光統計の分析、旅行業の許認可などを担当。奥様も県職員(福祉行政職)として働いており、2025年8月下旬に第一子が誕生した。
 

渡辺 龍平 さん(写真左)

 2015年入庁。現在は観光文化スポーツ部 文化課 世界遺産室に所属。世界遺産に登録された「佐渡島の金山」を未来に残すための普及啓発活動や保存への取り組みを、佐渡市と調整しながら推進している。奥様は民間企業勤務。2025年9月下旬に第一子が誕生した。
 

偶然が重なった「3カ月間」の育休


以前、同じ部署の先輩・後輩として働いていた金巻さんと渡辺さん。公私ともに交流があったおふたりですが、育休取得のタイミングが重なったのは全くの偶然でした。



金巻さんが「実は子どもが生まれるんです」と報告すると、渡辺さんも「俺も!」と驚きの展開に。さらに育休の取得期間について話してみると、おふたりとも「10月1日から12月末までの3カ月間」を予定していることが判明しました。

予定日は約1カ月違い。金巻さんは8月下旬、渡辺さんは9月下旬にお子さんが誕生しました。おふたりが「3カ月」という期間を選んだ背景には、共通した現実的な視点がありました。それは、経済面への影響を考慮しつつ、子どもの首がすわり生活リズムが整い始める時期まで、そして産後の奥様の回復期を支えたいという思いです。

金巻さんの職場では、すでに男性職員の長期育休取得の前例があり、上司への相談もスムーズでした。一方、渡辺さんは異動のタイミングと重なっていましたが、事前に人事へ希望を伝え、周囲の理解を得て計画的に準備を進めていきました。こうして、おふたりの「パパ育休ライフ」は同時に幕を開けたのです。
 

「名もなき育児」を知り、夫婦でルーティンを創る


「育休を取る前は、育児の方が仕事より楽なんじゃないか、なんて思っていた時期もありました」

金巻さんは率直にそう振り返ります。しかし、実際に始まってみると、その考えは一変しました。泣き止まない赤ちゃんを抱っこし続け、置いた瞬間にまた泣き出す日々の繰り返し。「これをどちらか一人だけでやっていたら、家庭が崩壊していたかもしれない」と、育児の大変さを肌で感じ、共有できたことが最大の収穫だったと語ります。



渡辺さんもまた、オムツ替えや授乳といった言葉の裏にある「膨大な作業」を目の当たりにしました。「何とかなるだろう」という事前の感覚は、めまぐるしい毎日の中で吹き飛びました。しかし、最初から夫婦二人三脚でスタートできたことで、「妻が作ったルールを手伝う」のではなく「ゼロから二人で家庭のルーティンを作り上げる」ことができました。この経験が、復帰後の生活基盤を強固なものにしています。

おふたりの話からは、育休が単なる「休み」ではなく、家族としての基盤をアップデートするための重要な期間であったことがうかがえます。
 

家族ぐるみの交流と「輸入」されるライフハック


同時期に育休を取得したことは、おふたりの関係、そして奥様同士の関係にも思いがけない化学反応をもたらしました。家が近所だったこともあり、自然と家族ぐるみでの交流がスタート。「今日天気いいからどう?」と声を掛け合い、新潟県スポーツ公園やデンカビッグスワンスタジアム周辺を散歩したり、パンを買ってピクニックを楽しんだり。奥様同士もすぐに意気投合し、時にはパパたちが仕事をしている間に、ママ同士でショッピングに出かけるほどの仲になりました。



興味深いのはお互いの育児スタイルを情報交換し、良いところを輸入し合っている点です。 例えば、お風呂のタイミング。渡辺家では当初、帰宅後すぐに渡辺さんがお風呂に入っていましたが、金巻家の「帰宅したらまずママにお風呂に入ってもらい、一人の時間を作ってリフレッシュしてもらう」というスタイルを聞き、すぐに採用しました。

 逆に金巻さんは、料理上手な渡辺さんに刺激を受けました。渡辺さんの手料理を振る舞ってもらった際、奥様が感激していた姿を見て、金巻さんも料理系YouTuberの動画を見ながら豚汁や肉じゃがに挑戦。「パパレベル」をお互いに高め合う関係性が生まれています。
 

新潟だからこそ叶う、豊かな子育て環境




金巻さんは育休中、奥様の実家がある上越市にも頻繁に滞在しました。高田城址公園や長野の善光寺、富山のアウトレットへ足を延ばすなど、車社会ならではの機動力を活かしてリフレッシュ。赤ちゃんにとっても、車での移動や外出が良い刺激となり、夜ぐっすり眠ってくれるというメリットもありました。



渡辺さんも、自宅近くのコンビニやパン屋へのお散歩から始め、金巻さん夫婦に誘われてスポーツ公園デビューを果たしました。「こんなに広い場所で、車を停めて一日中過ごせるなんて」と、改めて地元の魅力を再発見しました。冬の雪道など大変な面もありますが、ショッピングモールなどの屋内施設も充実しており、天候に合わせた過ごし方ができるのも新潟の強みと言えるでしょう。
 

復帰後のリアルと、これからの選択


3カ月という「秒」で過ぎ去った育休を終え、1月から職場復帰したおふたり。最初の1週間は、生活リズムの変化や、離れている間の我が子への思いで頭がいっぱいだったと言います。 しかし、新潟県庁ではテレワーク(在宅勤務)制度が浸透しており、柔軟な働き方が可能です。

在宅勤務を取り入れて、普段の通勤時間や昼休みの時間帯を活用して育児を行うことで、職場復帰後も夫婦で協力しながら、子育てを分担できているそうです。

最後にこれから育休取得を考えている人へ向けて、おふたりからメッセージをいただきました。



金巻さんは「育休は絶対におすすめ。次は子どもが歩き始めた頃に、2回目の育休を取れたらいいなとぼんやり考えています」と、お子さんの成長に合わせた分割取得について話してくれました。

一方、渡辺さんは「話し合いの大切さ」を強調します。「ただ周りが取っているから取るのではなく、取ったらどういう生活になるのか、取らなかったらどうなるのか。夫婦でキャリアや収入のことも含めて腹を割って話し合うことが一番大事」と語ります。育休を取ることが目的ではなく、その先にある家族の形を共有することこそが必要だという視点は、経験者ならではの重みがあります。



職場という枠を超え、同じ時期に親となり、悩みや喜びを共有できる「同志」となった金巻さんと渡辺さん。おふたりの姿は、制度としての育休だけでなく、地域や仲間と繋がりながら子育てを楽しむ、新しい新潟の家族像を映し出しています。
 

「仕事から帰って、子どもの顔を見ると疲れが吹き飛ぶ」。そう語るおふたりの笑顔は、3カ月間の濃密な家族時間が築き上げた自信に満ちていました。お互いを高め合い、支え合う「パパ友」の存在は、これからの長い子育ての旅路において、何より心強い味方となるはずです。